至仏山に咲く花々 その3 完 [尾瀬]
2015.7.12
イワオトギリ (=岩弟切) オトギリソウ科
オトギリとは弟切と書き、秘密のことを人にもらした弟を兄が怒って切ったという平安時代の
伝説からつけられたという。
尾瀬近隣の郷では乾燥したものを焼酎に漬け虫さされの薬とする。
オトギリソウとの区別が難しいが次の点で判断する。
A 全形と花びらの幅 1本立ちでやや狭い→オトギリソウ 株立ちでやや幅広い→イワオトギリ
B 葉の形と色 先が細い披針形で黒点小→オトギリソウ 細い楕円形で黒点多→イワオトギリ
チシマウスバスミレ (=千島薄葉菫) スミレ科
湿原中の低木下や林下の湿った所に隠れるように咲く。日本での分布は限られていて北海道と
本州の数ヶ所知られるのみ。尾瀬の近くでは駒止湿原で見られる。
ケウスバスミレ(毛薄葉菫)とも呼ばれる。ツボスミレとは茎が枝分かれしない点で区別。
コミヤマカタバミ (=小深山酢漿草) カタバミ科
花色は淡紅紫~ほぼ白色までさまざまある。葉はクローバー様の三つ葉。文献によると
尾瀬にはミヤマカタバミもあるとされているが本種との中間形も見られ判別は困難であるとされている。
これらが自然雑種なのかどうかは明らかにされていない。
タテヤマリンドウ (=立山竜胆) リンドウ科
多くの植物は葉が枯れても根は生きて翌年芽を出す多年草であるのに対し本種は種を結ぶと
葉も根も枯れ秋に種から発芽してそのまま越冬し翌年花を咲かせる越年生の1年草という
変わった生活史を持つ。花は日が陰ると閉じてしまう。
ツマトリソウ (=褄取草) サクラソウ科
ツマトリソウのうち葉の先端が丸いものはコツマトリソウと呼ばれる。しかし図鑑上では区別をしてない
ものが多い。実際中間的なものもあり明確な区別は難しい。
ここでは広義のツマトリソウとした。花びらは6~8枚と変動がある。
イワカガミ (=岩鏡) イワウメ科
直径約3cmの葉は光沢のある円形または卵円形で縁に浅いギザギザがあり長い柄を持つ。
茎の頂に数個集まって咲く淡紅色の美しい花は漏斗状で先が5烈し各列片がさらに細かく裂けている。
和名は光沢のある葉を鏡に見立てたもの。
イワナシ (=岩梨) ツツジ科
森林内や高山の林下に生育し淡紅色の鐘形の花を開く。葉は長さ6~8cm。花が終わると桜のように
花びらが一枚ずつ散るわけでなく鐘形のままポロッと落ちる。
果実は偏球形で甘ずっぱい味があり地みかんと呼んで食べる地方もある。
マイヅルソウ (=舞鶴草) ユリ科
ユリ科の多年草。ハート形のやわらかそうな葉はつやがある。びらは4枚。果実は初め紫褐色の斑点が
あるがのち赤く熟する。全体を真横から見ると鶴が求愛のダンスをしているように見えることから
舞鶴草の名がある。
ゴゼンタチバナ (=御前橘) ミズキ科
白い花びらに見えるものはミズバショウのそれと同様に葉が変化したもので総苞片と呼ばれる。
本当の花は中心の淡緑色の部分。花の咲く茎は葉が4枚。咲かない茎は6枚の葉が付く。
午前は加賀白山の御前峰。橘は実がカラタチバナに似ていることに由来。
タケシマラン (=竹縞蘭) ユリ科
森林内に生えるユリ科の多年草。葉がやや幅広く枝分かれをしないものを変種のヒメタケシマランと
することがあるが明確な区別は難しい。
良く似た別種のオオバタケシマランは全体大型(50~100cm)で花の柄がねじれることで区別できる。
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